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有馬記念2021【うま吉の追い切り評価】

アカイイト
ここ2走に比べて追って頭が高いまま、前進気勢は足りない。2週連続で舌を出しており、今まではそういう面を見せたことは映像の残っている限り一度も無かったので、もしかしたら舌を気にして集中出来ていなかったことも視野に。1週だけならまだしも、2週連続となると癖になってしまっている可能性もあるので、あまり高い評価は出来ない。

アサマノイタズラ
1週前は手先の軽いフォームでダイナミックな走りながら、力感を感じるフットワークで素晴らしい動きを披露。春の時点では硬さの見えた体の動きも秋になって変わってきてはいたものの、前走、前々走の時は柔らかいフットワークながら踏み込みが軽く見え、ちょうど変わってきている段階だった。今回は当週は軽めに流す感じでの追い切りだったが、踏み込みの軽さが消えて、非常に力強い脚捌きが出来るようになっている。この馬が最大限力を発揮できるフットワークが完成し、一変が見込める。

アリストテレス
この馬は精神的に幼い面があり、追い切りでは他馬を交わさない面や交わしても突き放さそうとせず、脚色を合わせてしまうところがある。1週前は時計は出ているものの今秋の中では一番と言っていいほど、いつ止まってもおかしくないほどモタモタしていた。当週も続けて武豊騎手がまたがったが、1週前の負荷を経て終始リードしたまま前進気勢を出していたところは評価していい。ある程度整った印象は受けたものの、前走時の方が気持ちの面では圧倒的に良かったので、整った程度では評価しない。

ウインキートス
1週前は終い重点で僚馬を楽に突き放し、馬なりのまま11.3秒というタイムをウッドでマークして、素晴らしい切れ味と反応を披露。前走時は全体ラップで速い時計をマークするような調整内容だったが、仕上がりは良くても持ち味を考えればレースには直結しなさそうな内容だったので評価しなかった。今回はデキ自体は良かった前走時の状態を維持するような調整だが、叩き4戦目でも良いテンションを維持出来ているし、自然と脚を溜めるような調整になっており、相変わらずキレそうな走りをしているので、内枠でも引いたら一考の余地あり。ただ、本当に良かったオールカマーと比べるとデキは落ちるか。

エフフォーリア
皐月賞の時にも言ったが、右回りの調教で直線に入って手前を変えるとスピードを出しても左回りの時ほどの迫力がない。秋の天皇賞の時の方が動きは良かったと横山武騎手は言っているが、状態だけではなく、右回りというのも影響がありそう。当週はウッドで終いにサッと伸ばす程度で11.4秒というタイムを叩き出して1週前よりも動きに迫力が出てきたが、直線ではずっと右手前、つまり左回りの時の直線での走りになっていた。状態も8割~良くて9割。右回りの有馬なら不安要素はある。

エブリワンブラック
割と全体的にまとまっており、ダートで勝ってきているがダート馬って感じもしない。ただ、ピッチ走法ではないのに完歩が狭くみえ、硬い馬場だとスピードが出そうにない。どしゃぶりで不良馬場であるならワンチャンあるかもしれないレベル。デキは良いが良馬場開催なら追走に手一杯になってもおかしくない。

キセキ
最近は追って反抗するほどでもないが、反応が渋くなっておりイマイチトップギアに入り切らないレースが続いていたが、当週CWで軽め調整をやった前走は結果は出なかったが良い意味で若い時のキセキが垣間見えた気がする。今回も1週前と当週とでCW調整という前走時と同じパターンで、負荷をかける必要がない分精神面は安定して送り出せそう。流石に動きには変わり身がないが、鞍上が変わるというのはきっかけにもなりそうで、軽視は出来ない。

クロノジェネシス
調教で素晴らしい動きを見せるタイプでもないが、併せ馬で手応えが悪いということは今までほとんど無かった。キビキビとした小気味よいピッチの走りをした馬で、当週はその脚捌き自体は出来ていたが、先行した僚馬の鞍上が何度も振り返るほど全くお釣りがない状況で促してなんとか追いつくレベルだった。自分の走りが出来ていないし、気持ちの面も切れてしまっている印象を受ける。これで引退レースなのでなんとか格好はつけてほしい。

シャドウディーヴァ
昨年のエプソムカップ以来の当週ウッド追い。当然だがその当時と比べると完成度が違うので今回の方が動きは良いが、2走前の府中牝馬Sから動きが良化してきて、コンスタントに使っていながらも前走、そして今回と高いレベルでデキが安定している。コーナーでは頭が高いせいで跳ね上がるような走りになっているが直線での走りは本当に良い。今がピーク。

ステラヴェローチェ
前走時は動きが悪かったが、自分の走りには集中出来ており、その点では収穫があった内容ではあった。レースでも長い距離では道中で物見してしまう面も改善されており、引っ掛かるようなところを見せたので、この状況なら距離短縮はプラス。併せ馬だと追ってからの伸び脚が鈍いところがある馬だが、今回は併せ馬でも手応えが良すぎてほとんど持ったままラスト1ハロン11.2秒というタイムを叩き出してきた。文句なし。

タイトルホルダー
1頭で走っている時と近くに馬がいる時とで走りが異なる馬で、他馬がいると力んで走ってしまう面をみせる。1週前は3頭併せの最内で手応えは良かったものの、やはり力む面を見せていた。ただ、当週は僚馬2頭を追いかける形で先着を許したが、もともとオーダーで前の馬を交わさないようにとの指示があり、予定通りなので気にしなくて良い。手前を変えていないのは余裕があったからで、何よりも他馬の影響を受けず、いつもよりもリラックスして走れていたのが非常に好感が持てる。かといって時計が遅いわけでもなかった。素晴らしい。

ディープボンド
陣営は沈むようなフォームになってきたと言っているが、そういうフォームが出来ていたのは阪神大賞典の時で、今回はどちらかといえば頭が高いいつものような走り。当週は軽め調整でリズム重視ではあるが、トビが非常に大きいので時計が出てしまっている。1週前は追って11.2秒という素晴らしい脚を披露してきており、その要因を探ってみたが、以前は前脚の踏み込みが力強く、どちらかといえばダート馬のような加速方法だった点が今回は前脚の捌きは以前よりは軽めになり、後躯が力強くなって、芝馬本来のスピードの出し方に変わっている印象を受ける。この加速の仕方がレースで出来るのであればスピードの乗りもいつも以上に良くなるはず。ただ、小回り適正は下がったかもしれない。

パンサラッサ
折り合いに難しいところがある馬なので、コース追い自体はほとんどやらない馬だが、1週前はCWでリラックスして走れており、追ってからの反応も良く時計も内容も抜群だった。当週は坂路調整で51.0秒というタイムを楽にマーク。多少、ラチに頼る面を見せたが、1週前のコース追いでは馬場の真ん中辺りをリズム良く走れているし、レースではどうせラチ沿いを走るので、この点はそこまで気にしないでいい。2500mを走る下地は十分整っている。

ペルシアンナイト
相変わらず年齢を感じさせない動きどころか、高齢馬になってより前進気勢が出てきた馬で、今回の当週追いも追われてからクビをグイグイ伸ばしてラスト1ハロン11.3秒というタイムを叩き出してきた。昨年の暮れ頃からずっと追い切りの動きは良く、1年経った今でもそれは健在。今回は中間にゲート練習をしているが、ゲートの出は遅く、思うように仕掛けられないところもあって中距離でも脚を余すところもあるので、いつものように溜める競馬をすれば距離は持ちそう。

メロディーレーン
非常に体重の軽い馬で350kg台しかないので、調教で良く見えることがなく時計も出ない馬だが、今回の中間のCWでの終いの伸びは過去最高に良い。12秒フラットなんか出したことがなく、状態は非常に良いと思う。当週の坂路は終いに脚が上がったように見え、いつものようなキビキビとした走りは鳴りを潜めたが、これは単走だった為。通用するかどうかは別として過去最高のデキ。

モズベッロ
2週連続で坂路でハード追いを敢行し、51秒台を続けてマークするなど確実に状態は上がってきている。終いはどちらも13秒台と物足りないが、そもそも51秒台の時計は過去に一度しか出したことがなく、それを今回の中間だけで2本も叩き出しているというのは注目したいところ。追い切りの動きの良さがレースのパフォーマンスに直結するタイプなだけに、一変してきそう。ただ、まだ上がある。

ユーキャンスマイル
1週前に坂路でしっかりやって、日曜にもコース追いで時計を出し、当週は芝での追い切りという今までにない調整をやってきて、動きは及第点レベル。秋の天皇賞の時が一番いい動きで、ジャパンカップの時もキープ出来ていたが、さすがにそこと比べると一枚落ちる印象。ただ、昨年よりは当然動きは良く復調自体はしているので、あとはレースにいってギアが入るかどうか。